Q 遺留分侵害額の請求はどのように行うか? |
→当事者間で協議を行い、協議がまとまらない場合は、調停を申し立てる(調停前置主義)。 調停不成立の場合、訴訟を提起する。 調停は、相手方住所地を管轄する家庭裁判所に、訴訟は、相続開始地または遺留分権利者の住所地を管轄する裁判所に提起する。 遺産分割調停・審判と遺留分侵害額請求訴訟が同時に進行する可能性もある。 |
Q 遺留分侵害額請求権は誰を相手に行使するか? |
→受遺者、受贈者である。 相続法改正後は、遺言執行者は相手方にならないと解されている。 |
Q 遺留分を侵害する遺言の有効性自体を争えるか? |
→遺言無効確認訴訟等で争うことができる。 遺言時の遺言能力の有無や偽造の有無などが争われる。 遺言無効確認訴訟と同時に遺留分侵害額請求訴訟を提起する場合もある。 |
Q 遺留分侵害額請求が、権利の濫用となる場合はあるか? |
→遺留分を主張する相続人が廃除の要件に該当するような場合は、権利の濫用となる場合がありえる。 |
Q 遺留分侵害額をどのように評価するか? |
→不動産の場合は、原則時価(取引価額)評価。 最終的には鑑定が行われる。鑑定では、不動産鑑定士が取引事例比較法、原価法、収益還元法などの複数の評価手法を用いて評価する。 →事業や非上場株式の場合は、キャッシュ―フローや清算価値、純資産額などをもとに現在の価値を評価する。計算方法は複数ある。インカムアプローチ、コストアプローチ、マーケットアプローチなどによって評価する。 |
◆遺留分の譲渡を詐害行為として取り消すことができるか? |
→遺留分の譲渡については、取り消すことができる場合もある。 遺留分の放棄については、取り消すことができない。 遺留分権利者の債権者が代行行使することも原則認められない。譲渡された場合は、代位行使も可能な場合がある。 |
Q 遺留分を侵害することを目的とした養子縁組が有効かどうか? |
→無効となる場合がある。 |
Q 保証債務は、遺留分の算定において相続債務に含まれるか? |
→原則含まれない。特段の事情がある場合は含まれる。 |
Q 特別受益は遺留分に算入されるか? |
→相続開始前10年以内のものなどが算入される。 |
Q 相続人以外の第三者への生前贈与は、遺留分に算入されるか |
→第三者への贈与は相続開始前1年以内のものなどが算入される。 相続人が相続放棄をした場合は、相続人では第三者として扱われる。 |
Q 生命保険金は遺留分に算入されるか? |
→原則算入されない。特段の事情がある場合は算入される。 例えば遺産総額3億円、その他に生命保険金3億円の場合などでは算入されえる(特別受益として持ち戻しの対象となる)。 |